高級住宅と格安住宅を経済的観点から比較する

お金のこと理論編

アラサーすら名乗れない時期が近付いていきている今日この頃。なんどろいどです。

私の周りでは結婚したり家を購入した話をちらほら聞くようになってきました。

「家の事が大好きでマイホームに住むのが趣味なんです!お金ならあります!」って人は好きな家を買ったらいいと思うのですが、住宅をある程度コスパで考えたい人にとって大事なお話をします。

高性能住宅と格安住宅の違い

家を建てる場合、購入するハウスメーカーによってかなり値段にバラつきがあります。

高級住宅メーカーの積水ハウスや大和ハウスなどは坪単価60万円~100万円くらいになりますし、価格が安めのタマホームやアイフルホームなどであれば坪単価30万円くらいの家もザラにあります。中堅どころで坪単価50万円くらいです。

なので高級と格安で比べたら2~3倍の価格差がありますし、真ん中くらいと格安で比べても1.5倍くらいの価格差が付くことになります。

これらの価格差は

  • デザイン
  • 品質
  • 耐久性
  • 個別の注文実現
  • アフターサポート

などに表れてきます。

住宅の値段を比較?本当にその比較で合っていますか?

さて、値段に差があるなら自分に必要だと思うところにはお金をかけて、それ以外の費用はなるべく抑えて… と考える人が多いと思いますが、果たして皆さんは住宅の価格を正確に比較できているでしょうか?

話をわかりやすくするために例を挙げて解説します。

  • A:50年メンテなしで住める4000万円の家(土地1000万40坪、建物坪単価75万)
  • B:10年ごとにメンテ費用が500万円かかる2500万円の家(土地1000万40坪、建物坪単価38万)

この2つの住宅で50年住み続けるケースを比較してみましょう。

住み始めた直後は4000万円の家の方がきっと快適に過ごせますね。

ただ2500万円の家も、メンテに500万円もかけるのであれば

  • 水回り(キッチン、お風呂、トイレ)一式
  • 床と壁紙など内装一式
  • 外壁と屋根補修

これらのうち2つくらいを10年毎に新品に交換できます。

なので30年目や40年目ともなると、その時点での最新の設備を入れられる2500万円の家の方が快適になっているんじゃないかと思います。

50年トータルで見た場合の快適さは同じくらいになるんじゃないかと思いますので、この2つの価値が同じものとして費用を比較してみましょう。

A:4000万円の家B:2500万円の家
購入費用4000万2500万
10年目0500万
20年目0500万
30年目0500万
40年目0500万
50年目0500万
総額4000万5000万

なんということでしょう。長く住むなら高級住宅の方がお得に見えますね。

…と思った方は要注意です。

お金の知識がある方ならピンと来ると思いますが、現在のお金の価値と将来のお金の価値は同じではありません

これはどういうことでしょうか?

住宅の値段を正しく比較する

さきほどの例では掛かる費用を単純に足し算しました。

ですが、4000万円の家を買わずに2500万円の家を買ったパターンBでは、差額の1500万円が手元に残っていると言えます。

この1500万円を利回り4%で資産運用していたらどうなるかを見てみましょう。

A:4000万円の家B:2500万円の家
費用残高費用残高
購入時4000万02500万1500万
10年目00500万1720万
20年目00500万2047万
30年目00500万2529万
40年目00500万3244万
50年目00500万4302万
総額4000万05000万4302万

4000万円の家を買う場合に比べて、残った1500万円を資産運用した場合は50年目で4300万円ものお金が増える計算になりました。

利回り4%だと10年でおよそ1.5倍になるため、住宅購入時の1500万円は10年目までに2200万円くらいまで増えることになります。なのでメンテ費用に500万円かけても、元の金額より増えているんですね。

利回り4%でもそれなりに現実的な数字(実際にはもっと高い利回りを出せることも多い)ですが、さらに堅実に利回り3%で計算しても、50年目に1650万円ほどの資金が残ることになります。

つまり、一括で最初に高い金額を支払うよりも、分割して後から払うようにお金を使った方がお得ということです。

それってつまり住宅ローン?

さきほどの話では現金一括で家を購入する場合の比較をしてきたので、金融リテラシーのある方にとっては現実離れした仮定に見えたかもしれません。

大半の人は住宅を購入する場合は住宅ローンを使いますよね。
住宅ローンを使って買う場合にどうなるかも見てみましょう。

  • フラット35(35年間固定金利 1.3%)で住宅ローンを組む
  • 4000万円のローンを組んだ場合、月々の返済額は118592円(元利均等返済)
  • 2500万円のローンを組んだ場合、月々の返済額は65305円(元利均等返済)
  • 毎月の返済額で53287円(年間約64万円)の差が出る

住宅ローンを組んだからといって銀行から1500万円を貰えるわけではないですから、ローン返済額の差額である年間約64万円を積み立てて運用するケースで比較してみます。

年利4%で差額を積み立て運用すると

A:4000万円の家B:2500万円の家
支払総額支払総額運用額
10年目1423万1283万267万
20年目2846万2567万664万
30年目4269万3850万1250万
40年目4980万4742万2118万
50年目4980万5242万3692万
総額4980万5242万3692万

このように、月々の返済額の差額を年利4%で積み立てていくだけでも、4000万円の家を買う場合に比べて3700万円近くお金が増えることになります。
もちろん運用額から10年ごとにメンテ費用500万円を支払った上で、の差額です。

まとめ:住宅購入金額を経済的観点から正しく比較するには

住宅を購入する場合はその支払いが長期に渡るものとして計算しなければ正しい比較が出来ません。

  • 現在の1000万円は10年後の1500万円
  • 現在の1000万円は30年後の3000万円

ざっくりとこのくらいの目安で計算してみると、その金額が本当に支払うだけの価値があるのかどうかを検討できると思います。

少なくとも複利のことを考えずに単純に足し算で考えてしまうのはいけません。

私の周りでも現在のお金の価値と未来のお金の価値を正しく比べられていない人が多いようだったのでこのような記事にしてみました。

みなさんがお金の価値について正しく理解するきっかけになれば幸いです。

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